西加奈子

この人の小説には,極端なキャラクターの人たちが次々に登場する。

めちゃくちゃな人たちやなあと思いつつ,どの人物にも自分や身近な人と似ている部分があって,引き込まれてしまう。

 

『サラバ』があまりに面白かったので,『サクラ』にも手を出した。

いずれも家族をめぐる物語。

 

サクラは,主人公の家族が飼っていた犬。

痩せっぽっちの仔犬を連れ帰る途中,妹に抱かれた仔犬が振った尻尾からハラリと落ちたピンク色の花びら。妹は,「桜の花びらを産んだ」と喜び,サクラと命名される。

 

それから12年。仲のよかった家族5人は成長し,変化し,不幸な出来事を経験し,皮がむけるように,それぞれの個性が姿をあらわし,てんでばらばらな生活を始める。

 

個性的な家族が,根っこを家族に残しつつもばらばらになっていく過程は,『サラバ』の家族にも似ている。

 

変わらないサクラ。

「あんなに饒舌に,陽気に,それでいて遠慮がちに,僕らに話しかけたサクラ。僕らはサクラが話すのを聞いて,世界がどんなに愛にあふれているかを知ったし,無駄なものはひとつもないのだということを知った・・」。

って言葉,涙が出てきそうだよね。

 

そして,不器用な家族は,サクラをきっかけに,通いあう部分をそれぞれの内心で確認する。

 

元気になりたいときに読んでね。